越境ECの現状と未来(執筆:JACCA 川連 一豊)

こんにちは。川連一豊です。

コロナ禍でかつ円安の影響もあり、2022年の越境ECは大きく伸びたと行った良いです。
今までも越境ECは盛り上がったり、下がったりを繰り返してきました。
今回は、私個人的には第5次越境ECブームになっているかなと思います。

前回に非常に盛り上がった第4次越境ECブームでは、痛い目にあった店舗や企業が多かったと考えています。
越境ECのことを何も知らずに、日本でECでは何も成功していないにも関わらず、いきなりタオバオに出て200万の広告を使って1円も売上がなかった会社もありました。

円安になってから、日々越境ECについて、お問い合わせがあるのですが、どうも越境ECのことについて、よくわかっていない方が多く、初心者の方も非常に多くいらっしゃいます。
できれば、もう少し勉強してから相談に来れば良いのになと思いつつ、その勉強するようなコンテンツも少ないのが現状です。

まずは、今の越境ECがどのような状態になっているかをお話できればと思います。

電子商取引に関する市場調査です。


経済産業省が毎年出している電子商取引に関する市場調査で、「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」の中に、越境ECの市場規模について書かれています。 日本・米国・中国の3か国間における越境電子商取引の市場規模は、表のようになっています。

経済産業省「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005.html

中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆1,382億円(前年比9.7%増)
米国事業者からの越境EC購入額は2兆5,783億円(前年比11.5%増)であり、昨年に引き続き増加となっています。


さかのぼって2013年の電子商取引に関する市場調査報告書を見ますと、図のようになっており、日米中の3か国相互間における消費者向け越境EC市場規模は、日本・米国・中国の越境ECによる購入総額合計を2012年では、3780億円と推定されていました。 この図を見て、越境ECに参加しようと思った方も多かったと思います。

■電子商取引に関する市場調査報告書
http://www.meti.go.jp/press/2013/09/20130927007/20130927007-4.pdf

さらに2013年の電子商取引に関する市場調査報告書の調査結果等に基づいて、2020年時点のインターネット利用率、EC利用率と越境EC利用率の発展状況を4通りのパターンを想定し、日本・米国・中国の越境ECによる購入総額合計は、2.3兆円にまで大幅に拡大する可能性があるとしていました。つまり2012年から8年間で5倍になるという計算です。

■電子商取引に関する市場調査報告書
http://www.meti.go.jp/press/2013/09/20130927007/20130927007-4.pdf

ところが、経済産業省の経済産業省電子商取引2022年発表分でみると、2021年は越境 BtoC-EC(米国・中国・日本の合計)の総市場規模は 6兆3141 億円となったということです。
2020年と2021年ですから1年違いとは言え、2020年の2.3兆円の予測から実はさらに3倍に伸びていた計算になるのです。

経済産業省 経済産業省電子商取引2022年発表分210730
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html

世界の越境EC市場をみると、2019 年の世界の越境 EC 市場規模は 7,800 億 US ドルと推計されています。その値は 2026 年には 4 兆 8,200 億 US ドルにまで拡大する と予測されています。つまり2019年から2026年までに約6倍になる計算です。

経済産業省 経済産業省電子商取引2022年発表分210730
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html

世界のEC市場規模を見ると、2020年の世界の BtoC-EC 市場規模は 4.28 兆 US ドル、EC化率は 18.0%と推計されています。2024 年には 6.39 兆 US ドル、EC 化率は 21.8%にまで上昇すると予測。世界規模で小売分野での EC化が引き続き拡大するとの予測であり、ECを前提とした商品販売の在り方が一層問われることになります。

経済産業省 経済産業省電子商取引2022年発表分210730
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html

JACCAとJECCICAの共同セミナー 「JACCA&JECCICA新年恒例!Eコマース大予測 2025年EC業界どうなる?超過激な衝撃編」

今回のセミナーは、毎年新年に行う恒例の大予測です。
2024年もいろんな予測が当たったのですが、2025年はさらに混迷する1年になると思われます。
このため、国内ECと越境ECが今までどうだったかと今後どうなるかを、ECデータ分析に定評のある本谷知彦氏とECやオムニチャネルの業界の最前線の現場で業務を行っている川連一豊氏が、お話いたします。