2025年7月のセミナーはECMS ジャパン登壇「世界の動き × 越境EC物流 〜知っておきたい最新動向とこれからの方向性〜」(登壇者:小松英樹​氏)

【物流セミナーレポート】「免税の時代は終わる」ECMSジャパン小松社長が語る、越境EC物流の最新動向と今後の展望

2024年7月17日、株式会社ECMSジャパンの代表取締役社長である小松英樹氏による越境EC物流に関するセミナーが開催されました。セミナーでは、ECMSジャパンの事業内容から、各国の物流事情や最新の規制動向、今後の展望に至るまで、多岐にわたる内容が語られました。本記事では、その中でも特に注目すべきポイントをレポートします。

越境EC物流を支えるECMSジャパンとは

ECMSジャパンは、中国・北京に本社を置くグローバル物流グループの日本法人。アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界各国に拠点を持ち、国際的な物流ネットワークを構築しています。日本法人は設立から9年目を迎え、航空・海運ライセンスやIATA代理店資格など、物流に必要なライセンスを全て取得しています。いわゆる「フォワーダー」として、越境EC事業者の物流を全面的にサポートしているのです。

越境EC物流で押さえるべき3つのポイント

セミナーの冒頭で小松氏は、越境EC物流において消費者が重視するポイントとして以下の3つを挙げました。

  1. 納期の明確さ: 商品がいつ届くのかが不明確だと、消費者は購入をためらう。
  2. 送料: 商品価格に対して送料が高いと、購入のハードルとなる。
  3. 追跡・保証: 国際輸送では、荷物の追跡や万が一の際の保証が重要になる。

これらのポイントを踏まえ、小松氏は「直送型」と「海外在庫型」という2つの輸送モデルについて解説。それぞれのメリット・デメリットを比較し、商品の特性や事業規模に応じた最適なモデル選択の重要性を強調しました。

注目すべき最新動向:各国の規制強化と「免税時代の終わり」

セミナーの核心部分では、各国の規制強化、特に「デミニミス(少額免税制度)」の見直しについて詳しく解説されました。

アメリカ:トランプ関税の影響と今後の展望

アメリカでは、トランプ政権下で導入された「トランプ関税」の影響が続いています。2024年7月には、中国製品に対する800ドルのデミニミス制度を撤廃する法案が成立しました。これにより、これまで免税だった中国からの輸入品に課税されることになり、中国の越境EC事業者にとっては大きな打撃となっています。

小松氏は、「日本製品についてはまだ2年間の猶予があるが、2年後には同様の規制が適用される可能性がある」と指摘しています。日本の事業者も、今後のビジネスモデルの転換を迫られる可能性があると警鐘を鳴らしました。

ヨーロッパ:IOSSの利用促進と関税撤廃の動き

ヨーロッパでは、2021年に導入された「IOSS(インポート・ワンストップ・ショップ)」の利用が促進されています。これは、EU域外からの輸入品に対する付加価値税(VAT)の申告・納税を簡素化する制度のことです。

さらに、2028年3月からは、150ユーロ未満の輸入品に対する関税免除も撤廃される予定。フランスやベルギーでは、それに先駆けて検査強化や手数料徴収などの動きも出ており、ヨーロッパ市場も規制強化の方向に向かっています。

今後の展望:新たな市場とビジネスモデルの模索

こうした規制強化の流れを受け、小松氏は「免税の時代は終わる」と断言しました。今後の越境EC物流は、一般貿易との垣根が低くなり、より健全なマーケットへと移行していくとの見方を示しました。

その上で、日本の事業者に向けて、以下のような新たなビジネスモデルの模索を提言しました。

  • グローバル在庫の活用: 現地に在庫を置くことで、一般貿易と同様の物流体制を構築する。
  • BtoBtoCモデル: 現地の卸売業者などを介して、消費者に商品を届ける。
  • D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の加速: メーカーが直接消費者に商品を販売するモデルを強化する。

また、新たな市場として、ASEANや中東、インド、ブラジルといった「次世代成長圏」にも注目しています。これらの地域は、若年層人口が多く、今後の経済成長が期待されることから、越境ECの新たなフロンティアとなる可能性を秘めていると語りました。

まとめ

今回のセミナーは、越境EC物流の最新動向と今後の展望を知る上で、非常に有益な内容でした。各国の規制強化という大きな変化の中で、日本の事業者はどのように対応していくべきか。小松氏の提言は、そのヒントを与えてくれるものであったと言えるでしょう。

セミナー終了後には懇親会も開催しました。恩蔵代表理事が冒頭の挨拶をし、締めは川連理事が締める。

見てください。この川連理事のふとした表情。素敵ですね。

懇親会でも和気あいあいと各社の困りごとなどを披露しあって課題解決につなげています。明るい環境ですので、越境ECに興味がある方はぜひご参加ください!

JACCA第27回セミナー:アジアンブリッジ登壇「台湾とタイの越境EC、これまで100億円以上売ってきてみえたこと」8月26日(火)18時から

JACCA第27回セミナーは、2010年から日本と台湾との越境EC、販路開拓に携わってこられ、今では台湾とタイの越境ECで実績を積み上げ、これまで100億円以上もの売上を上げてきてこられた、アジアンブリッジの阪根社長のご登壇です。
特にTikTokなどショート動画が旬なので、どのようにして売っていくのか、とても貴重なご講演となります。