年頭所感2026(JACCA代表理事 恩蔵優)
2026年新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
一般社団法人 日本越境EC協会(JACCA)の代表理事を務める恩蔵 優でございます。
当協会は、国内EC市場の発展を支援・牽引するJECCICAを主要提携団体として、市場の期待を受けながら越境EC専門の一般社団法人として2023年3月に設立しました。※JACCA理事3名はJECCICAのメンバーでもあります
設立以来、一度も欠かすことなく、毎月様々な分野の方をお呼びするセミナー及び懇親会を開催し、協会がきっかけになり沢山のビジネスのご縁が生まれていることに喜びを感じています。また国内だけでなく、世界各国の企業や団体からの問い合わせも増え、日本の窓口になってほしいというリクエストや、提携オファーも数多く来るようになりました。
越境は本来「日本から世界・世界から日本」の双方だと思うので、2026年は「海外→日本」の支援もしていけたら幸いと思っております。
そしてAIの時代がやってきました。ただの予測使いからパートナーであるコパイロットになり、そしてAIエージェントへ。AIの進化によって世界が急速に変化し、前提そのもの、仕組みそのものが変わってきました。AIエージェントが加速し、人間がやるべきコトとAIに任せる事が明確になってきます。Blackberryが牽引し、iPhoneでスマートフォンの革命が起こり、通信速度の飛躍的向上によってインターネットの世界は豊かになった。そしてAIの登場。この時代にいることに感謝しつつ、変化に対応し、楽しんでいけたらと思っています。
2025年8月発表の経産省最新データによると、2024年の日本国内の「BtoC-EC市場規模(3分野合計)」は、約26.1兆円。前年は約24.8兆円なので約1.3兆円(5.1%)の増加です。
かたや「BtoB-EC規模」は514.4兆円。前年は約465兆円なので約50兆円の増加。BtoBは10%を超える成長率です。両市場を合わせると「日本のEC市場は約541兆円」にまで成長しました。ちなみに、主に我々が関わっている物販系分野のBtoC-EC市場規模は、前年の約14.7兆円から5,400億円強増加し、約15.2兆円でした。

物販・サービス・デジタルの3分野合計の「EC成長率」は5.1%で、3分野すべてが前年を上回りました。特に、旅行サイトや飲食店予約・デリバリーといったサービス系分野のEC市場規模は、前年比9.43%増の約8.2兆円で過去最高を更新。また、冒頭でスマートフォンの革命に触れましたが、物販系分野に占めるスマホ経由の割合は61.7%で市場規模は約9.4兆円(前年9%増)。スマホが物販系を牽引していることは明らかであり、EC運営におけるスマホ最適化は”最低限必ずやらなければいけない事”と言えます。
そして気になる「EC化率」は、BtoC市場で9.78%、BtoB市場で43.1%まで成長してきました。
※EC化率については、経済産業省の定義により主に物販系分野のみで算出されていますが、全体で14.17%という数値もあります(後述)。

物販系分野のBtoC-EC市場規模の内訳をみると、
「食品、飲料、酒類」→3兆1,163億円(EC化率4.52%)
「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」→2兆7,443億円(EC化率43.03%)
「衣類・服装雑貨等」→2兆7,980億円(EC化率23.38%)
「生活雑貨、家具、インテリア」→2兆5,616億円(EC化率32.58%)
これら上位4カテゴリーが2兆円を超過しています。
EC化率については、「書籍、映像・音楽ソフト」→56.45%、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」→43.03%、「生活雑貨、家具、インテリア」→32.58%の順で高い値になっています。

そして、ECもとい国内消費や生産において見落としがちな「生産年齢人口」も見ておかなければならないと思います。かなり影響を受けています。

既に実感されている方も多いかもしれませんが、少子高齢化の進行により、我が国の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれています。この減少により、労働力の不足、国内需要の減少による経済規模の縮小など様々な社会的・経済的課題の深刻化がすでに起きています。
EC人材は更に不足するとも言われ、大手人材派遣会社のデータによると、登録者150万人を超える人材データの中で、EC経験者は0.5%の7000人しかいません。人材=人財の確保が、実は一番大きな「事」なのかもしれません。
ここからは越境ECに関わるお話です。
かたや、世界の平均EC化率は20.1%と推測され、市場規模も2023年に約5.8兆ドルを記録し、2024年・2025年も8%台の成長が予測される右肩上がりの状況。越境ECの世界は期待しかありません。日本のEC化率は9.78%(物販系分野)なので遅れている印象を受けますが、EC市場規模の世界ランキングでは中国・米国・英国に続き、第4位です。
世界ランキングにおいて中国が全世界の50.4%、続いて米国は19.6%、英国は3.6%、日本の2.8%、韓国の2.2%と続きます。中国の市場規模の大きさが際立っており1国で市場の50%以上を占め、米国を加えると上位2ヵ国で世界の70%のシェアです。


こちらは世界各国のEC化率です。
トップは中国で50.1%、続いて英国30.7%、以下韓国27.2%、インドネシア26.6%、ギリシャ23.2%、ノルウェー19.7%と続き、日本は第13位で14.17%

そして注目の、2024年における日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、どの国間でも増加しました。
日本の越境BtoC-ECの総市場規模は4,410億円。このうち、米国経由の市場規模は3,945億円(日本人が米国から買った数値)、中国経由の市場規模は466億円(日本人が中国から買った数値)。かたや、中国人による日本からの越境EC購入額は2兆6,372億円で、米国人による日本からの越境EC購入額は1兆5978億円で、桁違いに大きいです。

今後も市場規模の拡大とEC化率の上昇が予想されており、2028年には8.09兆US ドル、EC化率は22.9%まで上昇すると予測されています。
AI特にAIエージェントの普及もEC業界に大きな影響を及ぼすと思います。AIの活用により様々な言語への自動翻訳、不正検知、在庫管理を行なえることなども越境ECを促進する要因の一つになり、EC化率が飛躍的に伸びる可能性があります。
また、外国人による訪日と越境ECには密接な関係があると報告されています。
私の古巣でもあるBEENOSグループが2024年11月に実施した「越境ECの利用意向に関する意識調査」によれば、外国旅行中に気に入って購入した現地の商品やブランドを、帰国後に越境 ECで再度購入した経験者は44.0%(N=1,312)。2023年に実施された「海外旅行及び訪日旅行における消費行動と越境ECに関するアンケート」では35.4%(N=741)であり、8.6%増加。
越境ECで再度購入した理由としては、自国で買えないため(60.0%)、ブランドやショップのファンになった(45.6%)、商品が気に入った(39.9%)という回答が多数を占め、日本滞在時に、実際に商品に触れた経験、自分自身の目で確認できた経験、信頼できると認識した経験が起点となり、また越境ECで購入ができると認識されることで、帰国後(旅アト)の越境ECの利用が促進されていると推測できます。
そういえば2025年11月の当協会セミナーの登壇で、BEENOS時代の私の後輩でもあるZIGZAG社幹部の木村 寿人さんが「旅マエ・旅ナカ・旅アト」の施策実行の大切さを熱心に伝えていて、本当にその通りだなとあらためて感じたのを思い出しました。
2026年は昨年に引き続き、中国はもちろんのことアジアへの越境ECがとても熱いと思います。アメリカ・欧州は引き続きAmazonが主要マーケットですが、中国や東南アジア・中南米は自国エリアのプラットフォームが主軸です。
当協会のセミナーでもアジア進出における会は毎回立ち見が出るほどの人気。当協会での知見や人脈をきっかけにした新サービスの開発や、自社EC構築と共にプラットフォームへの出展の仕方等、数多くの相談をいただいている現状から肌感としてもアジア人気は加速度的です。当協会は中国・アジアに強い理事やパートナーがいますのでご相談の際はお力になれるかと思います。
JACCAの理念は「越境ECの世界をよりクリーンにし、企業へのチャンスと活性化へ中立公正の立ち位置として貢献する」こと。
引き続き邁進していきたいと思いますので、今後とも皆様のご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
本年が皆様にとっても素晴らしい一年となりますことを。

