越境ECが拡大しなくてはいけない理由(執筆:JACCA代表理事 恩蔵 優)

みなさまこんにちは、代表理事を務める恩蔵でございます。
専門知識を有する企業様をお呼びして、懇親会と共に開催するJACCAセミナーも第3回を終え、少しづつですが協会として越境ECの輪が広がっているのを実感しております。日々感謝と共に叱咤激励もいただき、協会を設立して良かったと理事メンバーで日々話しております。

「越境ECが拡大しなくてはいけない理由」という攻めたタイトルではありますが、今後数年で間違いなく越境ECは増加します、というか増えなければならない環境にあります。というお話を今回させていただこうと思います。

その前に、データとして日本の立ち位置を振り返ります。経産省が2022年8月に公開した2021年総合データの抜粋です。
BtoC市場に絞ると直近の「国内EC市場規模」は20兆6,900億円超えで、物販分野のみで13兆2,800億円超えです。「EC化率」は8.78%でした。※ちなみにBtoB市場のEC化率は35.6%

「EC化率とは」全ての商取引の中でECの市場規模が占める割合のこと。EC化率が低いということは電話や対面を含めた実店舗の売買が主流という意味です。

BtoC市場の日本のEC化率は8.78%、世界のEC化率は19.6%です。

世界で最もGDPが大きい米国のEC化率は約13%。世界の19.6%と比べると低い水準に見えますが、中国が44%という圧倒的に高いEC化率を誇っているからです。

金額感でいうと米国のEC市場は約96兆4,700億円、トップランカーを突き進み今後も更なる成長を期待されている中国のEC市場は約275兆7,300億円です。数値通り中国の市場規模はとてつもなく大きく、スマホ需要と共に主要都市以外のEC利用が増えていくと予想されています。米国もプラットフォーマー側の商品拡大や機能改善、また国土が広い影響を受け、EC化率と共に市場規模も爆速成長することが予想されています。

EC化率の他に、「国別のEC市場規模 = EC世界ランキング」という指標もあります。
中国・米国・イギリスに続いて日本は世界第4位です。4位なんだって思われる方も多いかも知れませんが、中国(52.1%)と米国(19%)の市場規模が世界で71.1%ものシェアを占めています。上位たった2か国で世界の71.1%のシェアです。これは凄過ぎます。

ちなみにイギリスで4.8%、日本は3%です。世界に対する日本の市場シェアはたった3%。ですが世界4位。世界的に見ても日本の市場規模は大きいです。野村総研の予測では、2025年の国内EC市場規模は27.8兆円、EC化率は11.9%になると言われています。

2007年のiPhone登場から世界中で閲覧や購買方法が変わりました。
PCメインからスマホメインになり、より簡単により直感的に購買体験が可能になりました。日本においてはガラケー成熟期はPCとの割合は半々だったと思います。通販サイトによってはまだまだPCが優勢でした。ただこの10年、WEBよりもいかにスマホでよく見せられるかが重要となりました。自動生成機能もありますがよりカスタマイズされた魅せ方を求める時代になりました。PCがなくても、どこでも簡単に便利に購買体験が可能になった現在、EC界としての可能性は無限になりました。

ただ逆の観点で見ると、EC市場の競争がより激しくなります。ほとんど戦国時代です。
今までは先駆者メリットがありましたが、テクノロジーや経験値の蓄積と共に後発企業や新サービスの勢いが凄まじく、もはや先駆者や後発などの区別がなくなってきています。日本においても国内競争がより激しくなります。顧客争奪戦です。日本は高齢化が進み、購入する層が限られてきて、GDPも低迷する予想が出ている中、どう他社と差別化していくか。

お財布は1つです。その1つを皆で奪い合うか、それともお財布自体を増やすか。
EC市場は拡大してもいかに効率的に顧客を集めるか、そして増やすかが重要となります。

そこで越境ECを私は提案しています。

「越境EC」とは、国や地域をまたいだオンラインショッピングのことで主に、
①海外の顧客がインターネットを介して日本のECサイトで買い物をすること
②日本国内から海外へ向けて商品を販売すること
の2つを指します。

越境ECは、「自社で運営する越境ECサイト」「海外のECモールに出店」「代行販売型越境EC」「保税区を活用した越境EC(主に中国)」という大きく4つのタイプがあり、まだまだブルーオーシャンな世界。しかし早めに動かないと間違いなく遅れを取るのが越境ECです。上記のように販売方法が複数あり、貿易も関わるので知見が貯まるのにすごく時間がかかるからです。

ここからは私の体験値なのですが、20年前位から少なからず貿易に携わってきて、現在起業しているMaddler社の事業は初めから日本人向けの越境ECで、「日本人がまだ見たことがない、世界中に散らばる素敵なモノを日本の方々に旬な情報と共に紹介していく」というサービスを主軸に展開しています。日本唯一のECサービスを展開しているので我々も初めてなことだらけだったのですが、世界中から日本へモノを輸入するには高い貿易ノウハウが必要になり、同時に国内外の物流機能も充実させなければなりません。その貿易ノウハウや機能が蓄積し始めた頃、その知見を活かして逆に日本から世界へモノを送れないかという相談がここ数年で相当数増えてきてました。

輸入と輸出では脳みそが違います。同じ国際輸送ですが似て非なる領域なのでやるべきかも含めて苦悩しました。ただ、Maddler社は営業拠点の1つとして先駆けて米国に100%子会社を設立しており、その子会社を使って米国への「輸入代行業」というサービスを立ち上げることになり、ここの稼働が一番大きくなります。先述の「②日本国内から海外へ向けて商品を販売すること」のBtoB上の起点になる必要不可欠な業務です。業界最大手がこの領域でTV CMを大々的に打っていたことから市場規模の大きさと期待値が垣間見れます。

もう始める人は始めてます。
ここは先駆者メリットがまだまだあります。

海外の顧客を獲得でき、お財布自体が増えます。
全てが新規獲得で、世界は日本の何十倍ものお財布の量です。

海外の顧客を対象にすると日本よりもライバルが少ないかもしれません。レッドオーシャンよりも海外というブルーオーシャンで戦う方がビジネスを拡大できるかもしれない。インバウンドで爆買いされることからわかるように、日本製品の人気は未だ健在で世界中から求められています。つい先日、職人さんが丁寧に編んだ京都の畳と、江戸切子、そしてノコギリを米国と欧州のECモールから求められて輸出しました。越境ECを利用して日本製品を購入したい人々は、世界中に数多くいます。

ただし、先述の通り簡単ではありません。スタートさせてすぐ売り上げが立つことはほとんどといってあり得ません。どういったものを販売したくて、誰に売りたいか。市場のニーズはどうなっているのか。まずはスタートさせて知見を貯めていくという手法も有りだとは思いますが、成功の角度を上げていくには事前準備は必須です。この成功の角度を上げていくことを当協会でも支援しています。

越境のデメリットとして輸送コストとタイムラグの件が取り立たされますが、欲しい人は絶対に待ってくれます。コスト改善をした上での物流費なら海外ユーザーは納得してくれます。数年前に日本制作のカーパーツを米国eBayで越境販売していた時は、商品の特性もありますが半年も待ってくれる人が大半でした。また、貿易費用含めると定価以上の価格になってしまうのにも関わらずこっちにはないからと納得してくれるユーザーがほとんどでした。

その他としてお伝えしておく点は、法律や規制が国ごとに異なるので販売できるモノと輸出できるモノの確認が事前に必要になります。そして国をまたいだビジネスなので国内以上に紛失・盗難が発生する可能性が高く、船便の場合は数年に一度は海賊にあったりします。当協会は国際物流における経験豊富なパートナーを保有しているのでこのような事例でも良質な相談に乗れることと自負しています。

最後に、日本・米国・中国の主要3か国間における越境ECの市場規模です(いずれの国間でも増加)。
日本:約3,170億円(日本消費者が米中事業者から買った額)
米国:約1兆5,570億円(米国が日中から買った額)
中国:約3兆6,650億円(中国が日米から買った額)
※世界(米中)から日本商品(日本事業者)が求められた額は約2兆5000億円

世界の越境ECの市場規模は米国と中国が飛び抜けて大きく、日本の越境EC市場規模は中国の10分の1、米国の5分の1です。日本には大きなポテンシャルがありますがそれがまだまだ開花していない状態なのです。
経産省が発表している2020年の世界の越境EC市場規模は、推測値で9,123億米ドルです。2027年までには4兆8,561億米ドルに達すると予想され、年平均成長率は約127%です。
国としても越境ECの将来性を期待していますし、早くに越境ECに取り組むことで企業側の知見も増え、将来において大きな利益を生む可能性があると私は思います。

(参照)経済産業省/電子商取引実態調査
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html

JACCAセミナー 最新AI技術を使った越境EC活用セミナー

今回はChatGPTなどAI技術を使った越境EC活用についてのセミナーです。
ChatGPTや、AI画像、動画生成など、生成AIを利用したい企業に、事業や業務内容に合わせた生成AIの活用方法のご提案から、開発、導入までを一貫してサポートする三原孝介氏が、ChatGPTを越境ECに、どのように活用できるかを、参加者の皆さんとディスカッションしていきます。